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豚がつづる読書ブログ
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あきない世傳 金と銀(五) 転流篇 (時代小説文庫) あきない世傳 金と銀(五) 転流篇 (時代小説文庫)
髙田郁

角川春樹事務所 2018-02-14

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★★★

大坂天満の呉服商五鈴屋の女衆から店主の女房となった幸は、とうとう三男の智蔵に嫁すことになった。
自身よりも大店の桔梗屋を買収し、新しい支店をうまく回すことに腐心する幸。
だが、そんな幸たちの前に新たな試練が待ち受けていた。

またもや難題が降りかかり、解決しようと幸は知恵を凝らしていきます。
帯地と着物のセット販売やら、歌舞伎座の興業にからめて売り込むマーケティング戦略やら、現代では当たり前のやり方でも当時としては画期的なんでしょうねー。

賢くて美人で商才もある幸ですが、商いに邁進するサイボーグのようであまり共感できません。
前巻の感想で、「心情が説明されないので幸に共感しにくい」と書いたのですが、今巻の作中でも妹の結から「姉さんは心が無い」と批判されてしまいます。
結が読者の声を代弁してくれた、と思ったのもつかの間、幸のことを周囲がフォローしてくれます。
まあ、人間味あふれる幸のエピソードもたまに差しはさまれるので読むのが辛いほどではないのですが…。

前に進んでも進んでもハードルが待ち構えている展開がパターン化してきてちょっと飽きてきました。
あからさまに伏線が張ってあるので先の展開が読めてしまい白けます。

次巻では女でも店主となれる江戸にとうとう出るのかな。

(2018年7月読了)
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★★★

れんげ野原のまんなかにある秋葉図書館に勤務する、新人司書の文子。
図書館にやってきた少年に本を探してあげたり、保育園でブックトークをしたり、業務もなんとか板についてきた。
そんな中、図書館の向かいの日向山から白骨死体が発見され・・・。

「れんげ野原のまんなかで」の続編。

舞台は浮世離れしてのんびりとした印象の図書館なので、ふんわりとした雰囲気のミステリ連作となっています。
しかし、ご近所の人々が図書館に持ちこむ日常の事件は意外にヘビーでほろ苦く切ないものでした。

最初は両親の離婚問題に揺れる中学生の話で心が暖かくなりますが、次章の最後に白骨が発見されてからは一転して不穏な展開に突入。
終盤では、時代に翻弄されたある男の悲しい肖像が立ちあらわれ、胸に迫る結末へとつながっていきます。
勿論悲しいばかりではなく、物語への作者の温かい心配りが心地よく、気持ちよく本を閉じることができるのですが。

親の離婚で傷ついた子どもの恢復力が頼もしく、次作が出たら彼の今後も読みたいものです。

(2018年7月読了)
ぼくのミステリな日常 (創元推理文庫) ぼくのミステリな日常 (創元推理文庫)
若竹 七海

東京創元社 1996-12-21

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★★★★

勤務先の社内報の編集長をまかされたOLの若竹七海は、掲載する小説の執筆を学生時代の先輩に依頼した。
先輩は匿名作家を紹介してくれ、12の短編小説を1年間連載することになった。
1年後、若竹七海は匿名作家にある推理をもって対面するが・・・。

社内誌の連載という形式の、凝った連作短編集。
各短編は”ぼく”という語り手が謎を解いていくというミステリで、どのお話も趣向を凝らしてあり、バラエティに富んだものになっています。
叙述トリックや密室もの、伝奇小説風の小説もあり、サービス精神旺盛に読み手を楽しませてくれ、最後まで飽きさせません。

ひとつのピースとして完結している短編が12編集まると、それがまた大きなひとつのパズルとなり、やがて隠された真相が浮かび上がってくるというアクロバティックな手法が見事に成功しています。

一つの話の中に遊び心が効いていて粋な面もあれば、清も濁もある人の陰影をあぶり出すという奥行きもあり。
複雑な余韻がボディブローのように作用し、癖になりそうです。

リアリティと謎解きのバランスが絶妙で、中々出会えない稀有な作品だと思いました。

(2018年5月読了)
狐罠 (講談社文庫) 狐罠 (講談社文庫)
北森 鴻

講談社 2000-05-12

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★★★

骨董商の「旗師」宇佐見陶子は、同業者の橘薫堂(きくんどう)の主人・橘から贋作のガラス器をつかまされる。
プライドを傷つけられた彼女は報復を決意するが、目利きの橘の目をごまかすことは容易ではない。
そこで彼女は、別れた夫のつてを頼り、贋作の天才・潮見老人に協力を求める。
一方、橘薫堂に勤める女性が殺され、陶子も殺人事件に巻き込まれてしまう。

骨董の世界を舞台にした、古美術ミステリ。
骨董業界という特殊な業界の事情をわかりやすく描いているのでとても読みやすかったです。

贋作をつかまされるのは見る目が無いから、つまり騙される方が悪いという非情なルールがまかりとおる業界。
そんな素人の想像を絶する古美術業界を舞台に、人の飽くなき欲望や駆け引きが描かれ、読み手はどんどん作品世界に引き込まれ、読み始めたら止まらないジェットコースターストーリーとなっています。

陶子がどのようにして復讐を果たすのか、殺人事件の捜査が陶子にどのように絡んでいくのか、一筋縄ではいかぬ手に汗握る展開や途切れのない緊張感に最後まで気が抜けません。

刑事のでこぼこコンビのしたたかさとか、潮見老人の不気味で迫力のあるキャラクターとか、脇を固める登場人物も個性豊かで魅力的でした。

ただ、最初の導入部分はちょっとわかりづらかったです。
まず主人公の陶子が橘に贋作をつかまされ、保険会社の調査員によって騙されたことに気づいた彼女は、その恨みを晴らすべく、復讐(目利き殺し)を決意する・・・という流れになっているのですが、彼女の心情が説明されないので、なぜリスクを冒してまで復讐を決意するのかが読み手には伝わらない。
一筋縄ではいかない世界で一人で仕事をする女性が並々ならぬ気概を持っていて、そのプロ意識の高さゆえに復讐をするのかな?とも思うのですが、贋作作りに手を染めるというのは、明らかに「犯罪者側」に行ってしまうことなので一度そうなったら絶対に元の立ち位置には戻れないし、職を失う可能性もある。
序盤の展開が早すぎて事情がのみこめず、陶子にも共感できないので読者が置いてかれる気がしました。

お話自体は面白かったので続編も読んでみたいです。

(2018年6月読了)
六月の夜と昼のあわいに (朝日文庫) 六月の夜と昼のあわいに (朝日文庫)
恩田陸

朝日新聞出版 2012-09-07

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★★★

全10編からなる短編集。


各編冒頭に、新鋭画家による絵と仏文学者杉本秀太郎氏による序詞が挿入されており、それにインスパイアされた恩田さんの不穏な雰囲気の小説が並べられている。

小説というよりも奇想・エッセイ・詩に近い感じ。
ある単語の連想から話があちらこちらへと飛び、起承転結もない。
揺蕩うような文章に身をゆだねれば、書き手の視点と共に恩田ワールドをゆらゆら揺れながらさまようことができます。

短編ひとつひとつの良し悪しを評価することもナンセンス。
オチが無くても、物語が破綻していても、気にしない。
この夢とウツツの境界が曖昧な世界に浸って自在に遊ぶことができる人だけが、この本を味わいつくすことができるのです。

(2018年5月読了)
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プロフィール
HN:
sis
性別:
非公開
趣味:
読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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