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にわか大根―猿若町捕物帳 (光文社時代小説文庫) にわか大根―猿若町捕物帳 (光文社時代小説文庫)
近藤 史恵

光文社 2008-03-12

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★★★★


猿若町捕物帳シリーズ3作目。

前作までの長編とは違い、今回は「吉原雀」「にわか大根」「片陰」の3編収録の中編集。

どの話もどこか心に引っかかりが残り、苦い味わいがたまらないです。
吉原の花魁、女形の役者といった一見華やかな世界で生きる人々が見せる哀切や鬱屈の凄みに魅せられます。
謎の背景にある人間関係を丁寧に明らかにしていくことで見えてくる悲しい真実に、心を揺さぶられました。

どのお話も良かったのですが、最初のお話の「吉原雀」が好みでした。
吉原で3人の遊女が相次いで死に、連続の死に不審を抱いた同心の千蔭は死因も異なるそれに関連性を見出すことはできず。
しかし、彼女たちを結ぶ「雀」というキーワードにやがて千蔭は気がつき、真相にたどりつく…というお話です。

吉原という特殊で閉鎖的な空間でしか起こりえない真相の意外性には驚かされます。
読み手をミスリーディングに導く手腕もさることながら、男性優位の社会に生きる現代の女性にも通じる「籠の中の鳥」というままならぬ悩みを描いており、うまく現代を照射していると思いました。
こうした点は前作の「ほおずき地獄」にも見られたので、今後も複雑な縒り合された謎解きを楽しむとともに、様々な事情を抱えた女性キャラクターたちの心情の変遷を描いてくれるものと思われます。
わたしは女性なのでそういう展開が大好物なのです。次巻も楽しみです。

それにしても、カタブツの千蔭が新たな女性キャラに毎度振り回されておろおろしてるのは読んでて楽しいですね~。
次巻でも新たな恋?のお相手が現れるんでしょうか。。

(2016年11月読了)
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自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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