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豚がつづる読書ブログ
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鸚鵡楼の惨劇 (小学館文庫) 鸚鵡楼の惨劇 (小学館文庫)
真梨 幸子

小学館 2015-07-07

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★★★

西新宿、十二社。惨殺事件の現場となった料亭・鸚鵡楼の跡地に建つ高級マンション。
その地に未だ漂う忌まわしい記憶が新たな惨劇を呼び寄せる…。

安定の真梨節に、安心と嫌な気持ちが輻輳しながら読了。

桐野夏生とも湊かなえとも少し違う、同じ集団に属する女性同士の馴れ合いや嫉妬を性に絡めてねぶるように執拗に抽出するような、独特の薄っぺらいイヤミスぶりが癖になります。

この作品では読み手を悪夢に陥れる手練手管がいっそう板につき、ベテランの風格を漂わせていました。

ただ、情報の見せ方やどんでん返しがワンパターンなので過去の作品を何作か読むと、犯人やミスリードさせたい部分がなんとなくわかってしまうのが惜しい気がしました。

幻想と現実のコントラストにはっとさせられるシーンもあり、特別な驚きはないものの小奇麗にまとまった作品だと思いました。


(2015年11月読了)

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菓子フェスの庭 (角川春樹事務所 ハルキ文庫) 菓子フェスの庭 (角川春樹事務所 ハルキ文庫)
上田 早夕里

角川春樹事務所 2011-12-15

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★★★

「ラ・パティスリー」の五年後を描いた続編。
百貨店の依頼により、洋菓子の企画フェスティバルに参加することになった洋菓子店のロワゾ・ドール。
中堅パティシエとなった夏織はフェスに出す新作づくりに奮闘する日々。
そんな折、先輩パティシエの恭也が東京からひょっこり帰ってきて……。

前作以上に、プロとして身をたてていく奮闘を描いた一人の女性の成長小説という感じでしたし、同時に、不器用な男の切ない片思い小説でもありました。

菓子フェスの担当者の武藤は、大の甘いもの嫌い。
この武藤という男、とにかく無骨で不器用な奴なのです。
恋に落ちたことを自覚せず、新しい大きな仕事に誘うことによって片思い相手に関わろうとしたり。
仕事はそつなくこなすけど、ちょっと独りよがりなやり方で彼女の成長を勝手に思いやったり。
(結局は彼女の意思を尊重して身を引くわけですが・・・)

夏織の成長を描くとともに、彼の甘いもの嫌いの克服と恋のひっそりとした終わりが描かれ、武藤がかわいそうになっちゃいました。

男性よりも女性の方が恋愛と仕事の相克に悩むこともなく夢に向かってバリバリ頑張っていくのが今風です。
甘い菓子の話でしたが、甘さよりもほろ苦さが残る、切なくビターなお話でした。

(2015年12月読了)
ラ・パティスリー (ハルキ文庫) ラ・パティスリー (ハルキ文庫)
上田 早夕里

角川春樹事務所 2010-05

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★★★

洋菓子店で働く新米パティシエの夏織がいつものように早朝に出勤すると、見知らぬ男が厨房で菓子を作っていた。その店のシェフだと言い張る男は記憶喪失にかかっていた。
オーナーとの話し合いにより、一時的に店で働くようになった男に夏織は次第に惹かれていくが・・・。

SFをたくさん書いている作家さんなので、てっきりSFかミステリだと思って読んだのですが全然違いました。

最初は密室状態の店に忽然と現れた男というミステリ小説のような始まりでしたが、実際はパティシエたちの日常と苦労、洋菓子店の経営の困難さを描いたお仕事小説です。
製菓業界の内幕を克明に描いていてとても興味深かったです。

職人たちの高いこころざしや苛烈な努力には感嘆させられますが、その分、彼らの人間模様は淡々として最後まであっさりしてました。
もうちょっと人間ドラマに浸りたかったので肩すかしをくらいましたが、まあ、このくらいがリアルというものか・・・。

(2015年12月読了)
銀行狐 (講談社文庫) 銀行狐 (講談社文庫)
池井戸 潤 村上 貴史

講談社 2004-08-15

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★★★★

池井戸潤さんの初期の銀行ミステリ短編集。

元銀行員の作者ならではの、銀行の内部システムに絡んだ事件や一般には馴染みの無い舞台裏の日常が詳細に描かれ、とてもリアリティがあって面白かったです。

やはり金が集まるところには人間の欲望や嫉妬にまつわる犯罪は付き物なんでしょうね。
短編のせいか、金にまつわる人間の明と暗がより凝縮されて描かれ、凡庸な読後感を抱かせないのが素晴らしい。

後年の作品に比べると生硬なタッチのストーリーが多く、新鮮でした。

(2015年7月読了)
([し]4-5)つむじダブル (ポプラ文庫) ([し]4-5)つむじダブル (ポプラ文庫)
小路 幸也 宮下 奈都

ポプラ社 2015-02-05

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★★★

バンドを組んでいる高二の由一と柔道に夢中な小四のまどか兄妹を描く、小宮家の物語。
由一のパートを小路さんが、まどかのパートを宮下さんがそれぞれ執筆。
穏やかな小宮家の日常は、ある日「芦田伸子」と名乗る女性から電話がかかってきたことで様子がおかしくなり.....。

誰しもが直面したことのある普遍的な親子の愛情や葛藤が丁寧に描かれ、むずかゆい気持ちになりました。

特に、宮下さんが描く小四のまどかの心理描写がすごく良かったです。
子どもではなく(と本人は思っている)大人でもない、思春期の入口に立っている微妙な年齢の彼女。
家族の気持ちの揺れを敏感に察知して不安になるものの、何が起こっているのかまだはっきりとは予想できないんですね。
よるべない少女の頃の気持ちを追体験させてくれました。 

予定調和ではあるものの、いつまでも読み終えたくないという魅力を持った滋昧あふれるお話でした。

(2015年11月読了)
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プロフィール
HN:
sis
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趣味:
読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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