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豚がつづる読書ブログ
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エデン (新潮文庫) エデン (新潮文庫)
近藤 史恵

新潮社 2012-12-24

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★★★

白石誓はたった一人の日本人選手として、世界最高峰のレース、ツール・ド・フランスの舞台に立っていた。
しかし所属チームのスポンサー撤退が決まり、チーム内に不穏な空気が流れる。
監督が選手たちにある工作を持ち掛ける中、レース上でも事件が起こり・・・。

自転車ロードレースの世界を描いた「サクリファイス」の続編。

7年前に読んだ「サクリファイス」の内容を忘れてしまったので一応読み返しましたが、正解でした。
続編ですが独立したお話なので前作を読まなくても話についていけますが、主人公の思いや過去を踏まえた上での今作なので、やはり前作を読んだほうが楽しめましたね。

今回はミステリというよりも、読者もロードレースをそのまま体感できるスポーツ小説となっています。
ツール・ド・フランスという大舞台で実況中継のように主人公のチカがどういう戦略で走っていくのか、ロードレース選手としての今後の道を模索しどのような覚悟を決めるのか、詳細に語られていく展開となっています。

前作でも思いましたが、ロードレースって奥深い競技で、一筋縄ではないレース展開が本当に興味深い。
さまざまな戦略・駆け引きや暗黙のルールがあり、敵同士でも利害が一致したら共同戦線を張ることもある。
レース外でも、チーム存続のための裏取引やドーピング問題が常に横たわっており、興業スポーツの内幕というレースとは違った様相を見せてくれます。
ただ速さを競うだけではない面白さがあり、知れば知るほど惹かれるスポーツです。

アシストに徹するチカが最終的に選んだ決断。
迷いが消えた彼の成長には大いに拍手を送り、見守っていきたいと思わせる迫力がありました。

(2016年7月読了)
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卯月の雪のレター・レター (創元推理文庫) 卯月の雪のレター・レター (創元推理文庫)
相沢 沙呼

東京創元社 2016-03-22

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★★★

揺れ動く少女たちの心理を巧みに描いた日常の謎短編集。

お互いを思いやる姉妹や女友達同士の葛藤を丁寧に描きながら、すこしだけ切ない謎を加えた5編の短編でした。

何をやりたいのかわからず、模索して立ち止まっている若者の心の動きに魅せられます。

将来に対する不安や懼れなど、簡単にはとても表せない気持ちを取り繕うことなく懸命に前を向いている姿には、自分も通ってきた道なので、懐かしさと尊さと感じますね。

著者は男性だというのはすぐにわかりました。
何となく、女性が女性を描いた時のリアルさが無いんですよねー。
これはこれでいいと思うし、悪いわけではないのですが・・・、うっすら「うーん、違うかなー。惜しいけど。」と感じてしまいました。
少女へのアプローチが、自分の好みと少し違いました。それだけです。

(2016年8月読了)


白ゆき姫殺人事件 (集英社文庫) 白ゆき姫殺人事件 (集英社文庫)
湊 かなえ

集英社 2014-02-20

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★★★

地方の化粧品会社の美人OL・三木典子が、惨殺され黒焦げ死体となって発見された。
同時期、典子と同期の城野美姫が母親が危篤だと嘘をつき失踪。
典子の後輩から週刊誌ライターの赤星は情報提供を受け、関係者への取材を進めていくが・・・。

関係者たちのそれぞれの視点によって、事件や容疑者の城野美姫の人間性が浮かび上がっていくという芥川の「藪の中」式ストーリー。

話自体はありがちで目新しさが無いのですが、週刊誌のゴシップを読んでいるかのように下世話なのぞき趣味的に楽しんで読みました。

謎の真相や動機もショボく「偶然の要素に頼りすぎでは?」とツッコみたくなるのですが、この物語のキモはそこにはありません。

本来なら多面的でいろんな面を持つはずの人間が、ひとたび容疑者扱いになると、周囲の人間の悪意によって単一的な見方で捉えられ、マスコミやネットの匿名によって圧倒的な速さで伝播していく現代的な怖さを、この作品は教えてくれます。

ライターが誘導尋問したり強引に煽ったりして関係者達を取材していくのですが、そこで語られる城野美姫の姿は関係者たちによって無責任に作り上げられた「虚像」なんですね。

事件とは関係のないエピソードも事件と関連付けてマスコミやネットによって拡散し、情報だけが独り歩きしていく。
その様子がかなりリアルで、本当に取材を受けたら自分も面白おかしく言っちゃうかも…と思ってしまいました。

いつものように、人間不信になりそうなイヤミスでした。。

(2016年7月読了)
その鏡は嘘をつく (講談社文庫) その鏡は嘘をつく (講談社文庫)
薬丸 岳

講談社 2016-03-15

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★★★

鏡に囲まれた奇妙な部屋でエリート医師が自殺した。

自殺したのは痴漢の汚名を着せられ嫌疑不十分で釈放された直後だったが、その死を他殺と疑った検事・志藤は独自に調査を進める。
同じ頃、所轄の人情刑事・夏目はある手がかりから真相を探っていくが・・・。

「刑事のまなざし」の夏目刑事が再登場。
前作が良かったので、今後もシリーズ化してほしいと思ってました~。

今回は、夏目刑事と志藤検事の推理が交互に展開されていきます。
真実を明らかにするという目的は同じなのに、正義に対するアプローチが異なるために捜査方法が違う二人。
そんな二人の視点で事件の核心に迫っていく展開は緊迫感があって読み応えがありました。

人の心に寄り添いながら捜査を進めていく夏目には相変わらず感情を揺さぶられましたが、今回は志藤検事のほうが出番が多いので夏目刑事の魅力があまり発揮されてない気がしました。

終盤も駆け足気味のせいか、ちょっと雑な感じで残念。
「鏡」というガジェットもうまく使いこなしていないし、人物の掘り下げも足りないので受け入れがたい真相にはリアリティを感じることができないんですよね。

次回作を楽しみにしたいと思います。

(2016年7月読了)
オーブランの少女 (創元推理文庫) オーブランの少女 (創元推理文庫)
深緑 野分

東京創元社 2016-03-22

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★★★

美しき庭園に隠されたもうひとつの庭の物語、醜い姉と美貌の妹を巡るヴィクトリア朝ロンドンの犯罪譚、寂れた食堂の亭主を翻弄する過去の思い出…。
異なる場所、異なる時代を舞台に描く、少女たちをモチーフとしたミステリ短編集。

表題作の「オーブランの少女」に、まず驚かされました。
最初に色とりどりの花が咲く美しい庭園が活写され、その後不穏な殺人劇が繰り広げられるのですが、その対比が鮮烈な印象を残してくれるのです。
情景が目に浮かんでくるような物語世界の構築力・リーダビリティは新人離れしていて、瞠目しました。

割と好きなのは「片想い」。
これは日本の戦前の女学校が舞台になっていて、いわゆる「エス」が出てくるのでわたし好みでした~。
制限の多い時代の女性の細やかな心の動きが活写されていて、頬がゆるみました。
前向きなラストの読後感が良かったです。

どの短編にも現れる、強靭さと脆さが危ういバランスで同居している、そんな季節を過ごしている<少女>たち。

平気で残酷なことをする同じ心で、愛するものに惜しみない愛情を与えることのできる彼女たちは、いつか自身が変容し、大人になった時に初めて通り過ぎた季節を思い返すのでしょう。

彼女たちの息づかいを間近で聞いているかのように、もどかしさや切なさが伝わってきて、素敵な緊張感を味わうことができました。

(2016年6月読了)
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プロフィール
HN:
sis
性別:
非公開
趣味:
読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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