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豚がつづる読書ブログ
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オーダーメイド殺人クラブ オーダーメイド殺人クラブ
辻村 深月

集英社 2011-05-26

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★★★

母親の無理解に閉塞感を抱き、友人関係でも息苦しい日々を送る中学2年の主人公・小林アン。
普通の中学生とは違う「特別な存在」となるために、同級生の「昆虫系」男子徳川に、自分が被害者となる殺人事件を依頼する。
果たして二人の計画は遂行されるのか――。

いわゆる「中二病」のイタイ中学生のお話です。
読んでいてむずがゆくなるほどの痛々しさに雄叫びをあげそうになりました。
生々しい中学生の痛さにリアルに迫ったという点では、百点満点をあげたい作品です。

主人公の小林アンは「リア充」の普通の女の子ですが、若さゆえの自意識過剰と自己顕示欲の強さをこじらせていて、自分は他の人とは違うという考えにがんじがらめになって生き辛い思いをしています。
中学生なんてたいてい学校と家庭の狭い世界で生きているものですが、その中で自分を追いつめ、「死」という空想に自らの痛みを投げ出すことで、現実の痛みとの差を埋めようとしてもがいているんですね。

友達全員に無視されて教室で居場所をなくしても、死ぬということを心の寄りどころにしている。
こんなつまらない世界に埋もれるより、世間に永遠に名が残るようなセンセーショナルな死に方をしたいっていうのは、何となくわかるような気がします。
はるか昔に青春を送った身には、彼女の切実さには共感するし、愛しくて、眩しかったです。

ラストについては、清らかで素晴らしい‥‥というのは半分で、あとの半分は「はあ??!!」って感じでしたね‥‥。
世間にもまれて薄汚れてしまった私には何とも言えないラストでした‥‥。

(2015年12月読了)
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盤上のアルファ (講談社文庫) 盤上のアルファ (講談社文庫)
塩田 武士

講談社 2014-02-14

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★★★

性格の悪さが災いし、県警担当記者から文化部に左遷されてしまった新聞記者の秋葉隼介。
失意の秋葉は行きつけの飲み屋でアマチュア将棋指しの真田と偶然出会う。
その日から秋葉と、人生の起死回生をかけて三段リーグ編入試験に挑む真田との奇妙な共同生活が始まった。

リーダビリティが高く、最後まで一気呵成に読んでしまいました。
信じる道しか進むことのできない男の熱い想いに魂が揺さぶられ、生きる力のほとばしりに火照ってしまいました!
登場人物たちの話す関西弁のリズムもテンポの良さを助長していて、緊張感の中に漂う適度なユーモアが読んでいて楽しかったです。

ただ、あっという間に読み終えた時は気づかなかったのですが、ちょっと構成のバランスが悪かったように思います。
秋葉が左遷されて慣れない文化部の記者として戸惑うくだりと、真田の悲惨な少年時代の回想シーンだけで小説の半分が費やされます。
前半はやたらと密度が濃いので後半はどんな怒涛の展開となるのだろうと期待してしまうのですが、真田が苦しみながら将棋に真剣に向き合うという、意外に常識の枠組みをはずれない王道展開に少し物足りなさを感じました。

(2016年9月読了)
マツリカ・マジョルカ (角川文庫) マツリカ・マジョルカ (角川文庫)
相沢 沙呼

KADOKAWA/角川書店 2015-03-25

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★★★

学校近くの廃墟に住む女子高生マツリカとひょんなことから知り合った高1の柴山こと「柴犬」。
その名のとおりマツリカにパシリにされながらも、柴山は学校周辺で起こる謎を彼女と解いていく。
人と関わることを避けていた彼の高校生活はマツリカを手伝うことによって一変するが・・・。

高校を舞台にした青春ミステリ。
著者のほかの作品(マジシャンの酉乃シリーズ)に設定がちょっと似ています。
女の子とオドオドした男の子の組み合わせが著者の好みなのでしょうか。

毎回、学校周辺の怪奇現象などを安楽椅子探偵のマツリカが推理していくという流れになっています。
4篇のどれも思春期のほろ苦さが胸を刺す結末ばかりで、胸をえぐられるようでした。

周囲に心を開かず、友達のいない柴山が事件を通じて少しずつ変わっていく、という展開はありがちなのですがほっこりします。

高校生男子の劣情具合が想像以上に気持ち悪くて、女性としては受け入れがたいものがありましたが…読んでるうちに少し慣れました。
綺麗な太もも万歳!

(2016年9月読了)
カンタベリー・テイルズ (講談社文庫) カンタベリー・テイルズ (講談社文庫)
真梨 幸子

講談社 2015-11-13

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★★★

4編からなる連作短編集。
パワースポットをモチーフに据えた短編集ですが、どの登場人物もパワーをもらうのではなく逆にパワーを奪われ誰も幸せにならないという、著者らしい毒がちりばめられたブラックな趣向となっています。
パワースポットなのにマイナスの効用があるという非常に後味の悪い短編集です。

各短編はキャラクターやエピソードがリンクしており、そのつながりに気づいた瞬間はイヤな汗をかきました。

一番印象に残ったのは表題作の「カンタベリー・テイルズ」。
イギリスのカンタベリー・テイルズに行く電車のホームで会った四人の日本人観光客が、成り行き上、到着までにそれぞれのとっておきの話をするというお話。
彼らが披露する怪談話や都市伝説めいた話はなんだかリアルで、日常から逸脱した狂気に不安を覚えながらもワクワクしてしまいました。

ラストの短編「シップ・オブ・テセウス」も良かったです。
作中の登場人物が書いたという作中作なのですが、いつもの女性たちの醜いドロドロ話ではなく、少年達が遺伝子操作に翻弄されるというSF仕立ての短いお話になっています。
諦念と虚無感にふちどられた抒情の豊かさがとても意外で、真梨さんってこんなお話も描くんだなあと新鮮でした。
こんな、気持ちが逆撫でされない真梨作品をまた読んでみたいです。

(2016年8月読了)
骸の爪 (幻冬舎文庫) 骸の爪 (幻冬舎文庫)
道尾 秀介

幻冬舎 2009-09

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★★★

ホラー作家の道尾は仏像を作る工房・瑞祥房に取材に訪れたが、夜中に怪異に遭遇する。
翌朝には仏師が行方不明となり、昨夜の怪異について工房の人々に尋ねるたものの、道尾は追い出されてしまう。
道尾は心霊現象を研究する友人・真備とその助手・北見を伴って瑞祥房を再訪するが、再び仏師の失踪事件が…。

ホラー作家の道尾と探偵役の真備が活躍するシリーズ第二弾。
序盤からおどろおどろしいシーンがたたみかけられ、恐怖の盛り上げ方が半端ないです。
日中は仏師が作業している工房が夜中になると真っ暗になり、懐中電灯のかすかな灯りに照らされた仏像が笑うシーンなんて…夜中に読んでいたので叫び声をあげそうになりましたね。
恐怖感で一気に読み手を物語に引きずり込む手口が容赦ないです~。

二十年前の仏師の失踪事件の謎を紐解いていくうちに現在進行形の謎も深まり、読み手としては何がなんだかよくわからない状況で緊張感だけが高まっていきます。
そして終盤、巧妙に張られた伏線と精緻に隠されていた事実が徐々に暴かれ、それまでの意味不明な手がかりが何だったのか、作者の演出の意図にやっと気づくのです(私だけ??)。
自然な伏線回収と情報の小出しの手練手管は慣れたもので、後年のトリックマスターである作者の本領発揮となっています。

前作はオカルト部分とミステリ部分が拮抗していましたが、今回は謎を論理的に解決していくという、本格ミステリの枠組の中できっちり積み上げられたミステリという印象でした。
その分、面白みは少なく、小さくまとまってしまったなーという感じはあります。
主人公たち3人のキャラクターも薄くって…。

でも面白いことには変わりないので、続編は読みたいと思います。

(2016年8月読了)
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プロフィール
HN:
sis
性別:
非公開
趣味:
読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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