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豚がつづる読書ブログ
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日曜の夜は出たくない (創元推理文庫―現代日本推理小説) 日曜の夜は出たくない (創元推理文庫―現代日本推理小説)
倉知 淳

東京創元社 1998-01

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★★★

神出鬼没の探偵・猫丸先輩が活躍する7編のミステリ短編集。

猫丸先輩というキャラ設定が秀逸。
小柄で猫のようなまん丸の目をしていて、30歳過ぎで職業不詳。
好奇心旺盛で人を煙に巻くのが得意、神出鬼没で毎回意外な所から突然現れては鮮やかに謎を解いてくれるのです。
船頭から役者までなんでもこなす変人で、とにかく不思議な人です。

そんな猫丸先輩が関わる事件はバラバラで統一性がなく、短編ごとに作風が違うので、猫丸先輩が出てこなかったら同じシリーズの小説だとは思えないほどです。

昔話の解釈が新鮮な「海に棲む河童」、少女とおじちゃんの穏やかな時間が切ない「約束」、劇中の殺人という心理を上手く使っている「一六三人の目撃者」などなど、バラエティに富んでいるので飽きずに楽しめました。

また、最後にちょっとした趣向が凝らされています。
これが何というか・・・作者によるネタばらしで、メタ構造になっていることが最後にわかるのですが、奇をてらい過ぎていて後味もよくないし、白けるので蛇足だと個人的には思いました。
まあ、たまにはこういう趣向もいいか・・という感じでした。

(2017年1月読了)
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美女と竹林 (光文社文庫) 美女と竹林 (光文社文庫)
森見 登美彦

光文社 2010-12-09

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★★★

「これからは竹林の時代であるな!」
小説の締め切りに追われて現実逃避中の登美彦氏は、将来の安泰のために多角的経営を思いつく。
幼少のころより心惹かれていた竹林の経営のために、竹林を所有する知人の実家に向かった。
荒れはてた竹林と苦闘する登美彦氏の脳裏に浮かぶのは、MBC(モリミ・バンブー・カンパニー)のカリスマ経営者となり、TIME誌の表紙を飾る自分の姿。
がんばれ登美彦氏、竹林の未来のために!
はてしなく拡がる妄想を、著者独特の文体で綴った一冊。

作者お得意のフィクション風妄想エッセイ。

くだらない、シュールすぎる、ギャグが寒い、楽屋オチ等々、読んだ方の感想は大体そこらへんにまとまるかと思います。

しかし、とりとめもない妄想をこれだけ膨らませることのできる作者の奇才には脱帽します。
これだけ中身のないことをくだくだしく書けるのはよっぽどの奇才(鬼才?)か脳味噌が溶けちまった人のどちらかに違いない(褒めてます)。

なにも考えずに楽しめる貴重な本。
これはこれで有意義な読書時間が過ごせると太鼓判を押せます!

(2015年3月読了)
ねむりねずみ (創元推理文庫) ねむりねずみ (創元推理文庫)
近藤 史恵

東京創元社 2000-11

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★★★

突然、ものの名前がわからないという記憶障害に冒された歌舞伎役者・中村銀弥。
悩む夫をいたわりながらも妻の一子は夫と気持ちを通じ合わせることができず、別の男性との逢瀬に通う。
一方、探偵の今泉と役者の瀬川小菊は歌舞伎役者の婚約者の謎の死を追う。
二つの謎が交差する時、美しくも壮絶な真相が明らかとなる――。

歌舞伎の世界を題材にしたミステリ。

歌舞伎作品の筋書きや所作の意味については、ストーリーとうまく絡めて丁寧に説明されるのでこの世界に詳しくなくても問題なく読めます。

歌舞伎の死と闇の気配が濃厚に浮かび上がってくるようなあやうい雰囲気に酔いつつ、繊細な登場人物の卓越した心理描写に惑わされました。

芝居という虚構と現実の奇妙な二重写しに目を眩まされましたが、役者の舞台にかける執念や芝居の中でしか生きられない役者の業が凄まじく、心を撃たれました。

トリックは納得できないし、犯人を絞り込んでいく過程での推理の醍醐味が味わえないのでミステリとしては今一つなのですが、不可思議な人間模様を楽しむには絶品のお話でした。

(2015年2月読了)
キミは知らない (幻冬舎文庫) キミは知らない (幻冬舎文庫)
大崎 梢

幻冬舎 2014-04-10

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★★★

亡父の書いた本がきっかけで仲良くなった非常勤講師・津田の突然の退職にとまどう高二の悠奈。
ふとしたことから津田の住所を知った悠奈は、遠方にある津田の自宅を一人で訪ねていく。
ところが悠奈は突然拉致され、自分の出自を巡る騒動に巻き込まれることに。
しかも12年前に事故死した父親も関係していることがわかり・・・。

普通の女の子が、突然ドラマチックな騒動に巻き込まれるジェットコースターストーリー。
誰が敵なのか、誰を信じていいのかわからない、二転三転する物語にひきつけられます。

次から次へと謎が出てきて、孤立して逃走し挙句の果てには殺されそうになり・・・ハラハラしながら読みました。

「地位も名誉も財産も、ほしかったら自分で手に入れればいい。いつだって、一から始めてやるよ」というある人物のセリフに、このお話の言いたいことが全てつまっています。

古い因習に捕らわれず、ちゃんと普通の日常に戻ることのできた主人公の清々しさが眩しいお話でした。

(2017年1月読了)
母性 (新潮文庫) 母性 (新潮文庫)
湊 かなえ

新潮社 2015-06-26

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★★★

母と娘が過去を回想していく物語。
庭に花が咲く高台の小さな家で親子三人は幸せな日々を送っていた。
しかし、泊まりにきていた母親の母親が土砂崩れで亡くなった時に幸せな暮らしは一瞬にして崩れ去った。
一家は父親の実家に住むことになり、母親にとって地獄のような生活が始まった・・・。

異常なマザコンの母親と、母の愛を渇望しながらも愛されない娘の回想が交互に語られていきます。

最初から不穏な空気が立ち込め、不安定なざらざらとした手触りの物語空間を構築しています。
ゾクゾクしながら読み進めました。

母親は自分の母親にべったり依存し、母がどうしたら喜んでくれるか、自分をほめてくれるか、行動の全てがそれが基準になっています。
母親は娘にも同じ依存関係を強要し、自分の理想像を押し付けてきます。
娘は母に応えようとするが、成長とともに違和感を感じ、母からの無償の愛を得られないことに苦しむようになります。
人は、育てられたのと同じやり方でしか人を愛することができないので、この母親は歪んだ愛を娘に与えることしかできないんですね。

母親と娘が、それぞれ自分の母親の愛を求めるさまは信仰や報われない恋にも似ていて、とても切なくなりました。

生んだだけでは母親になれない。
母性の正体について考えさせられました。
子どもに捧げる無償の愛、自分の命を次世代に繋げていくための愛・・・。
愛するという行為は相手に伝わり心を満たしてこそ完成するものなのかもしれません。

このお話、どう着地させるのか気になって読み進めていくと・・・意外な結末でした。
母娘のわだかまりを解いてくれたのはなんと「時間」なんですよね。
衝撃的な結末などではなく「時間」というのがとてもリアルです。

真実が明らかになるとき、趣向を凝らしたミステリの貌で読者をあっといわせるのがこの著者の常道ですが、今回は曖昧な結末がなんだか物語の切れ味を鈍くしている気がしました。

それにしても、家庭内での父親の存在感の無さ!!・・・怖すぎです。

(2017年1月読了)
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プロフィール
HN:
sis
性別:
非公開
趣味:
読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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