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豚がつづる読書ブログ
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天才たちの値段―美術探偵・神永美有 (文春文庫) 天才たちの値段―美術探偵・神永美有 (文春文庫)
門井 慶喜

文藝春秋 2010-02-10

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★★★
★★5つ!


美術品の真贋を眼力ではなく舌で見わけるという天才美術探偵・神永美有が、ボッティチェッリやフェルメールなどの泰西名画から正倉院宝物まで、様々な美術品にまつわる謎を快刀乱麻を断つかのごとく解き明かしていく。

美術探偵・神永が、ちょっとまぬけで人の好い美大講師・佐々木をお供に、美術品の真贋を味覚で判定するという美術ミステリーの連作短編集。

この作品では、美術品の価値の高低は真贋や芸術的な優劣という基準だけではなく、歴史的な研究対象としての価値であったり個人的な思い入れのある特別な品であったりという様々なアプローチで、美術品の魅力に迫っていきます。

単に美術品の鑑定での謎を解いていくだけに収まらず、その品に関わった人たちのさまざまな思いや心の動きが明らかになっていき、視点を変えると見事に一転した真実が見えてきて思わずカタルシスを憶えるという、素晴らしい構成になっています。

ホームズ役の神永とワトソン役の佐々木のコンビの推理合戦も楽しいわ、知的好奇心も刺激されるわ二転三転する構成も楽しいわで、文句のつけようの無いほど面白かった!
悪い人が一人も出てこないというのも読みやすい一因だと思いました。

ラストもいいんですよねー。
頼りないと思ってた佐々木の成長ぶりがグッときます。

鮮やかな謎解きと美術の世界の奥深さが味わえる、贅沢な一冊でした。

(2017年2月読了)
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なぎなた (創元推理文庫) なぎなた (創元推理文庫)
倉知 淳

東京創元社 2014-01-29

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★★★

ノンシリーズの作品を集めたミステリ短編集。

猫好きはより楽しめる「眠り猫、眠れ」と「猫と死の街」、倒叙ものの「運命の銀輪」、日常の謎を追う「ナイフの三」など、七つのお話。

取り立てて派手さのない普遍的な雰囲気に安堵しながらページを繰
っていくと、不穏な空気を膨らませて物語を盛り上げていく手腕が素晴らしく、一気に読みました。
ただ、お話の雰囲気作りはうまいのですが、
真実を隠すために偽装を重ねる犯人の話が多く、その偽装があり得なさすぎて本格ミステリとしては腑に落ちない読後感でした。

どの短編もひねった作りなのは、悪への警鐘とか社会への糾弾といった作者の強いメッセージ性が込められているからなのかと思いましたが、そういうわけでもなさそうです。

後書きも蛇足って感じで・・・倉知さんのノリは自分には合わないみたいです。

(2017年2月読了)
土蛍: 猿若町捕物帳 (光文社時代小説文庫) 土蛍: 猿若町捕物帳 (光文社時代小説文庫)
近藤 史恵

光文社 2016-03-11

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★★★

猿若町捕物帳シリーズ5作目。

長屋の大家に店子の諍いを仲裁して欲しいと千蔭が頼まれていた矢先、大家が殺されてしまうという「むじな菊」、髷を切られるという事件が続発する「だんまり」、中村座の人気役者の弟子が自殺し、そして同時に梅が枝の身請け話が持ち上がるという「土蛍」、人生貧乏くじばかりだった男が頼まれた富くじを買った後死んでしまった謎を解く「はずれくじ」の4編を収録。

くどくどとした描写は全くないのに、人物のさりげない言動や所作から行間を読ませる手法で、その者の特徴や性格を見事に表現するという筆力。
その上、テンポ良く動きのある場面と静謐なそれが物語に緩急のリズムを作っているところも読みやすさを助長しています。

今までのシリーズ同様、事件の裏に垣間見える人間の業の深さにはやるせなくなります。
千蔭にとうとう年の離れた妹ができるのですが、赤ちゃんの無垢な様子が事件と対比していて、人間の欲望の果てしなさがより際立っていると思いました。

ほんとに、必要以上に求める人の飽くなき欲望っていらぬ苦しみを招く悪の元だなーとしみじみ考えさせられました。
いっとき欲望が満たされて満足しても、すぐに足りなくなってまた欲求が止められなくなるという人間の本能的なサガが怖くなります。
足るを知るって大事だよな・・・と読後に痛感しました。

(2017年2月読了)
御子柴くんの甘味と捜査 (中公文庫) 御子柴くんの甘味と捜査 (中公文庫)
若竹 七海

中央公論新社 2014-06-21

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★★★

長野県警から東京の警視庁へ出向した御子柴刑事。
長野と東京の上司や同僚に地元スイーツをそれぞれ要求され、両者の調整のために四苦八苦しながら贈答に励む日々。
東京と長野で起きた事件を、元上司の小林警部補に助けられながら解決していく。

短編集『プレゼント』で登場した御子柴刑事が主人公で、小林警部補が脇役の短編ミステリ。

取り組む事件は尊属殺人だったり恨みゆえの犯行だったりして結構ヘビーなのですが、出てくる長野銘菓がどれも美味しそうで、読みながらヨダレが出てきました。
お菓子は事件に関係ないのですが、気分がほっこりするいいアクセントとなっています。

御子柴刑事は最初は頼りない印象でしたが、出向で苦労しているせいかだんだん頼もしくなってきて成長度合が楽しめました。

私も出向経験があるので、それぞれ出向先と出向元に気を使う大変さがよくわかります!
御子柴刑事はすごく頑張っていると思うので、応援したいです。

続編があったらまた読みたいと思います。

(2017年2月読了)
あきない世傳金と銀〈2〉早瀬篇 (ハルキ文庫) あきない世傳金と銀〈2〉早瀬篇 (ハルキ文庫)
高田 郁

角川春樹事務所 2016-08-09

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★★★


1巻で衝撃的な終わり方をした『あきない世傳』の続き。
幸が奉公する呉服商・五鈴屋の店主は放蕩三昧で、店は危機に瀕していた。
そんな中、幸に思いもよらぬ縁談が持ち上がり、選ぶ余地のない選択を迫られる。
あきない戦国時代とも呼べる厳しい時代に、幸はどのような道を選ぶのか。

「早瀬編」とタイトルにあるように、予想以上の速さで展開するジェットコースターストーリー。

17歳になった幸の体つきはふっくらと女らしくなり、同時に、今まで得た商いの知識も花開く寸前の蕾のようにふくらんでいきます。
これから花咲くであろう彼女の道行きが眩しくもあり・・・順風満帆にいかないと予想されるその紆余曲折が切なくもあり。

幸は選ばざるを得なかった皮肉な運命を受け入れ、それが彼女の運命を切り開いていきます。
幸は運を引き寄せ、ワンチャンをつかみとってそれを活用していくことのできる人なんですね。
やはりそれは、地道な努力と、日常の出会いを大切にいとおしんで光に顔を向けて進んでいく強さを持っているからなのでしょう。

できることならば、彼女の商売上のパートナーと恋の相手は自分で選んでほしいものですが・・・それが簡単に行くならこの話は終わっちゃうので、まだまだ苦難の道を辿っていくことになるんでしょうね。

幸が大輪の花を咲かせるまでまだまだ道のりは長そうですが、次作も期待してます。

次の巻、早く出ないかな~。

(2015年10月読了)
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プロフィール
HN:
sis
性別:
非公開
趣味:
読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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