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豚がつづる読書ブログ
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貘の檻 (新潮文庫) 貘の檻 (新潮文庫)
道尾 秀介

新潮社 2016-12-23

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★★★

精神を病み離婚した辰夫は、息子との面会の帰り、女性が列車に轢かれて死ぬのを目の当たりにする。
その女性は、かつて父親が犯した殺人に関わり、行方不明だった曾木美禰子だった。
32年前に辰夫の父に殺されたはずの彼女がなぜ今更現れたのか。
真実を求めて辰男は息子を連れて故郷を訪れるが、次々と不可解なことが起こり…。

故郷のO村で辰夫は32年前のことを調べようとするのですが、思い出したくない記憶が蘇り、悪夢にうなされることに。
この悪夢の描写や、村を取材しているクセのあるカメラマン、村の閉鎖的な状況などがただならぬ感じをにおわせ、これから起こる事件を否が応でも盛り上げる雰囲気にゾクゾクしました。

あまりにも陰鬱な重い読み心地に中々ページが進まなかったのでちょっと流し読みしてしまったのですが、終盤は一気に展開が進みさくさく読み進められました。

幻想的なシーンを盛り立てる描写力は健在だと思いましたが、オチとしては少し安易に流れた感があり、「普通…」という感想です。

(2017年3月読了)
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製造迷夢: 〈新装版〉 (徳間文庫) 製造迷夢: 〈新装版〉 (徳間文庫)
若竹 七海

徳間書店 2014-01-08

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★★★

刑事の一条風太は、とある事件をきっかけに、モノに残っている残留思念を読むことができる井伏美潮と出会う。
超能力の類を信じない一条は最初のうちは反発するものの、徐々に心を開き、二人は数々の事件の謎をといてゆく。

連作短編集ですが、どの章も法で裁けない罪や、事件が解決したからと言って単純に収束しない幕切れが描かれ、後味の悪さが目立ちました。

不安を煽る物語の盛り上げが上手く、何の変哲もない日常の風景さえも作者の筆致にかかれば言い知れぬ不安を覚える風景へと一変するようでした。

美潮の超能力も、事件を解く手段というよりも、能力によって他人とわかりあえない苦悩や事件を予測できるわけではない不完全さが強調されているのですが、その上で前向きに生きようとする彼女の強い意思が心強かったです。

法律も及ばない、人間の悪意を罰することができないのか、それに対抗するにはどうしたらいいのか、考えさせられました。

(2017年3月読了)
真実の10メートル手前 真実の10メートル手前
米澤 穂信

東京創元社 2015-12-25

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★★★★

フリージャーナリストの太刀洗万智が取材の中で出会った謎を解いていくミステリ短編集。
「真実の10メートル手前」「正義漢」「恋累心中」「名を刻む死」「ナイフを失われた思い出の中に」「綱渡りの成功例」の6編を収録。

『さよなら妖精』『王とサーカス』に続く〈ベルーフ〉シリーズ第3作目。
作中には〈ベルーフ〉という言葉が出てこないので、何だろう?と思い検索したところ、「天職」という意味だそうで。
太刀洗が「真実」と「多くの人に伝えるべき事実」のはざまで葛藤しながらもジャーナリストを「天命」として活動していく、という意味でつけられたシリーズ名なのでしょうか。

基本的に独立したストーリーなのでシリーズの前2作を読んでいなくても楽しめる内容となっていますが、1作目の『さよなら妖精』だけは読んだほうがいいと思います。
太刀洗がどうして記者を職業に選んだのか、彼女の立脚点を知ることができるし、記者として悩む彼女の胸底には必ず10代の頃の苦い思い出が関わっているからです。

どの短編も良かったのですが、「名を刻む死」と「ナイフを失われた思い出の中に」が印象に残りました。

「名を刻む死」では、自分では努力してもどうしようもない事に直面した時に人は忘れるか、自分を苛み続けるか、選択を迫られます。
どちらも選べない場合は、自分に都合のいいストーリーとして受け取るしかない、と言った太刀洗の諦観は同時に生き抜くための強さや知恵でもある…と思いました。

そして、「ナイフを失われた思い出の中に」。
これは『さよなら妖精』のヒロイン・マーヤの兄が訪ねてくる話で、感慨深かかったです。

ジャーナリズムの役割についてマーヤの兄と太刀洗は議論するのですが、難しくて非常に繊細な話なので、理解できない部分もありました。
紛争地で育ったマーヤの兄にとって記者は「あらかじめ結論を用意して報道する」人たちなんですね。
それに対して太刀洗は、「誰も傷つけないために」マスコミとして世に知らしめる「事実」は加工されなくてはならない…という考えを持っています。
ジャーナリズムって何だろう、と素朴に考えました。
難しいですね。

記者として「真実」へ食らいつく太刀洗の危うい姿勢は淡々としていますが、凄まじいものを感じます。
「真実」を明らかにすることでの痛みを真っ向から引き受ける覚悟を決めた彼女の生き方は、ハードボイルドで好感が持てます。

ただ、終始落ち着いたクールなトーンで描かれていくので、間欠的に笑いやウィットに富んだ会話が欲しくなります!
太刀洗のシリアスなスタンスも素晴らしいのですが、扱うテーマが重いので笑いがほしいんですよね…。

(2017年3月読了)
自薦 THE どんでん返し2 (双葉文庫) 自薦 THE どんでん返し2 (双葉文庫)
乾 くるみ 大崎 梢 加納 朋子 近藤 史恵 坂木 司 若竹 七海

双葉社 2017-01-12

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★★★

乾くるみ、大崎梢、加納朋子、近藤史恵、坂木司、若竹七海の自薦アンソロジー。

2.3作は既読だったので個人的には新鮮味が無かったです。
どんでん返しの作品を集めたようですが、これってどんでん返しかなあ?という話もあり、変化球も楽しむ余裕がないと期待外れと感じてしまうかもしれません。

印象に残ったのは乾くるみの「同級生」と近藤史恵の「降霊会」。
どちらも先の読めないトリッキーな話で、ラストには寒気が止まりませんでした・・・。

「同級生」のほうが女性同士のマウンティングや女性の計算高い部分がよりリアルで怖かったです。

6人の作者は乾さんだけが男性で、あとは女性(確かそうだったはず)なのですが、なぜ男性の描く女性キャラクターが一番嫌らしいのか・・・不思議です。

(2017年2月読了)
水底の棘 法医昆虫学捜査官 (講談社文庫) 水底の棘 法医昆虫学捜査官 (講談社文庫)
川瀬 七緒

講談社 2016-08-11


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★★★★

東京荒川の中州で発見された変死体。
損傷が激しく身元特定は困難を極め、他殺か自殺か事故かどうかもわからない。
解剖医と鑑識の判定に法医昆虫学者の赤堀涼子は異論を唱え、独自に調査を開始する。
捜査本部の岩楯警部補たちと連携し、彼女が見極めた事件の真相は――?

法医昆虫学捜査官シリーズ三作目。
毎度毎度、遺体に残されたウジやわずかに付着した虫や微生物から緻密な赤堀の捜査が始まるわけですが、今回は水中の生き物たちの生態も描かれていて、赤堀先生の守備範囲の広さには驚きました。
海の虫の描写も気持ち悪いったら・・・思わずウェブで虫たちを画像検索しましたが、ほんともう、見るんじゃなかった・・・大後悔です。

刑事たちは被害者の刺青から真相に迫っていくのですが、赤堀と刑事たちの捜査が交わる時、終盤の半端ないデッドヒートに突入。
最後は一気読みでした。

ミステリって、「誰が」殺したのかという点を推理する話は多いと思うのですが、この作品では容疑者どころか、被害者の身元は半分以上読み進めても不明のまま。
被害者が「どこで」死んだのか、それだけを愚直に突き詰めていく。
被害者が明らかになりさえすれば、「誰が」「いつ」殺したのか自ずと明らかになるだろうという考えのもと、自分のできることをひたすら掘り下げていく赤堀。
そして彼女を信頼して彼女の情報をもとに捜査していく刑事たち。
3作目にして登場人物たちの関係が以前よりも強固になり、信頼のコールアンドレスポンスがきちんと作用していることに何だか安心感をおぼえ、いつの間にか彼らから目が離せなくなっていることに気づくんですねー。
私にとって、いつまでも読んでいたいシリーズになってしまいました。

乾燥アリのフェロモンを赤堀と岩楯が並んで吸引するシーンは・・・とてつもなくおかしい。
こういうユーモアや皮肉っぽいエピソードがちょいちょい入ってるのもたまらない!

(2017年2月読了)
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プロフィール
HN:
sis
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趣味:
読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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