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豚がつづる読書ブログ
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貴族探偵 (集英社文庫) 貴族探偵 (集英社文庫)
麻耶 雄嵩

集英社 2013-10-18

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★★★

自らは推理をしない貴族の探偵。
推理などという〈雑事〉はすべて使用人任せという、かつてない斬新な探偵ミステリ短編集。

探偵が趣味という貴族が主人公なので、最初は安楽椅子探偵ものなのかな?と思いきや、この貴族探偵、全く推理をしません。
執事やメイドなどの使用人に捜査や推理をすべてまかせ、彼のやることはその場で女の子を口説くことくらい。

本名も謎という存在自体がトリッキーな名?探偵のおかげで、物語の雰囲気もどこか空虚で絵空事のようです。
そのためロジカルな謎解きもゲームのようで、ドロドロした動機から起こった殺人模様もなんだか乾いた味わいです。

一番面白かったというか、騙されたのは「こうもり」。
作者はフェアな手を使って読み手を真相に導くための手がかりを提示するという、本格ミステリの条件をきちんと守っているのですが…。
フェアかどうかはギリギリの線だと思う…、でも面白かったです。

(2017年6月読了)
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ホテル・コンシェルジュ (文春文庫 か 48-4) ホテル・コンシェルジュ (文春文庫 か 48-4)
門井 慶喜

文藝春秋 2015-10-09

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★★★

伝統もありサービスも一流のホテルポラリス京都。
ホテルのスイートに長期宿泊中のお坊ちゃん・桜小路清長が持ち込んでくる厄介ごとをベテランコンシェルジュの九鬼と新人フロント係の麻奈が次々と解決していく短編集。

コンシェルジュとは普通ホテルで快適に過ごすにあたっての相談(観光やお店情報の提供やチケットの手配など)を請け負う人たちだと思うのですが、この作品では桜小路清長が家庭の問題や個人的な問題を思い切り相談しまくってます。
探偵役がコンシェルジュである必然性があまり無いので、現実的ではなくて違和感を少し感じました。

でもその点を除けば、派手さには欠けるけど謎解きの楽しさを味わうには申し分ない連作ミステリです。
それぞれのお話もバラエティに富んでいて、知的好奇心も満足させてくれます。
情報を小出しにして見事解決に至る持っていき方は熟練の手さばきで、安心して読めました。

清長に大学を卒業してもらいたい清長の伯母、資金源である伯母の機嫌を損ねたくない清長、ホテルの売上のために清長に少しでも長くホテルに逗留してもらいたい九鬼、将来コンシェルジュとして仕事をしたいために清長の問題を解決しようとする麻奈。

各々の目的は異なるのですが、九鬼はすべての人が納得でき、幸せになれるような解決策を提示していきます。
それぞれの意図で動く人々を納得させ、物語のドラマに落としこんでいくスリルは謎解きよりも興奮しました。

また続きが出たら読んでみたいと思わせてくれる作品でした。

(2017年5月読了)
純喫茶「一服堂」の四季 (講談社文庫) 純喫茶「一服堂」の四季 (講談社文庫)
東川 篤哉

講談社 2017-04-14

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★★

鎌倉にひっそりと佇む喫茶店、一服堂の女主人は極度の人見知りで店は閑古鳥が鳴いている。
しかし客が語る殺人事件を推理してみせるときは態度が豹変し、「客の推理が甘い」と罵倒する。
そして人並外れた思考力で事件を鮮やかに解いていく―。

タイトル通り、春夏秋冬に起きた四つの事件を収録した短編集。
キャラの立った登場人物たちが織り成す会話はテンポよく、コミカルでとても読みやすいです。
しかしライトな語り口とは裏腹に、扱う事件は死体が磔にされたりバラバラにされたりとどれも猟奇的で、ほのぼのとした雰囲気とのギャップが面白いと思いました。

トリックは誰にでも途中でわかるような子供だましばかりでちょっとガッカリ。
本の帯に「衝撃のどんでん返し!」と書いてありましたが、わざわざこんなトリックにしなくてもいいのに…。
せっかくの仕掛けがうまく作用されておらず、設定が生きてないような気がしました。

(2017年5月読了)
からくり同心 景 (角川文庫) からくり同心 景 (角川文庫)
谷津矢車 THORES柴本

KADOKAWA/角川書店 2015-08-25

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★★

父の跡を継いで同心となった慎之介は、壊れて動かない一体のからくり人形と出会う。
そのからくり人形『景』を正体不明の襲撃者が襲うが、突然動き始めた景は高い戦闘力で撃退した。
景は美しい若武者の姿に擬態し、慎之介を唯一の主と認めて付き従うようになるが…。

最初は現代調のライトな筆運びにとまどいましたが、一種の「ネオ時代小説」というか、和製ファンタジーだと理解しました。
簡単に言えば、高い戦闘力を持ちながらも記憶を失ったドラえもん(またはキテレツ大百科のコロ助)を主人公が拾って、ドラえもんを発明した黒幕と戦う、という話です。

ありがち展開には既視感を感じながらも、躍動感あふれる戦闘シーンや景と人間たちのちぐはぐな会話を楽しみました。

話はまだまだ序章のうちに終わってしまったのですが、編集者による無断改変により本書と続編は絶版だそうで。
続きが読めず、残念です。

(2017年5月読了)
真夏の島に咲く花は (講談社文庫) 真夏の島に咲く花は (講談社文庫)
垣根 涼介

講談社 2010-02-13

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★★★

南太平洋上の国、フィジーを舞台としたストーリー。
日本から両親と移住してきたヨシ、ガソリンスタンドで働くフィジアン・チョネ、父のお土産物屋を手伝うインド人・サティー、ワーキング・ビザでフィジーに来た茜の4人の若者。
ある日フィジー人によるクーデターが起き、首都から離れた4人の暮らす街でも影響が出始めた。
そんな時、チョネの元恩師のトラブルが起き・・・。

最初の100ページくらいは、主人公4人の日常風景が丁寧に描かれ、フィジー現地ののんびりとした雰囲気のように、物語はゆっくり進んでいきます。
彼らの恋愛模様が描かれていく中で、価値観や性質の違うインド系移民と元々フィジーに住んでいた現地人の共存の様子や、フィジー人ののんびりすぎる気質や個人所有という概念の無さからくる二つの民族の葛藤などが織り込まれ、自然とフィジーの社会構造が頭に入ってきます。

クーデターが起こってからも、首都とは離れているせいかゆったりとしたテンポでお話は進んでいきます。
こういう場合、日本だともっと大騒ぎになると思うのですが、主人公たちの生活にじわじわ影響が出てからもテンポはあまり変わらないので、その感じが妙にリアルでした。

他の垣根作品のような圧倒的なスピード感と緊迫感を求めていると肩透かしを食らうはめになりますが、人間の幸せについて熟考させられる良作だと思います。

資本主義社会にどっぷりつかっている私たち日本人と、お金も所有概念もないフィジー人のどちらが幸せなんでしょうね。
民族が異なると価値観も違うように、幸福のものさしは人それぞれなのかなあ。

どれも正解で、今いる場所が楽園だと、ゆるく考えればいいんじゃないと垣根さんは言いたいのかもしれないですね。

(2017年5月読了)
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プロフィール
HN:
sis
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非公開
趣味:
読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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