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豚がつづる読書ブログ
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★★★

大洋新聞に連載されている「よろず相談室」には老若男女から様々な相談が寄せられる。
「居候に悩んでいます」「しつこいお客に困っています」「隣の人がうるさくて、ノイローゼになりそうです」等々。
一見なんの関連性もない人生相談の裏には、衝撃の事件が隠されていた!

通常営業の真梨幸子イヤミス劇場。

いっつも同じような構成なので、慣れてしまいました。

連作短編の中に伏線を張りまくり、それを最後に一気に回収し、物語の全貌が明らかになるという手法で今回も作られています。
各短編が意外な形でつながっていたり、複数の登場人物が同一人物だったり。
そのうえ時系列もシャッフルされているので読み手の頭は大混乱。

上手にまとめることができたら、最後にバラバラのパズルがきれいに嵌るカタルシスを得られ読後感もスッキリ…となるのですが、今作は失敗している気がします。
伏線回収から零れ落ちる謎も多いし、強引で脈絡のない展開には辟易させられます。
登場人物が多すぎて各人物の心情の深堀りが十分ではなく、さばききれていない。
こんな入り組んでいてややこしい話を書く熱量はすさまじく、最後まで一気に読んでしまうけども後に残るものは無いって感じ。

真梨さんは沢山書きすぎて燃料切れなのかな、と心配になりますがまた次作も読んでしまうと思います。

(2018年10月読了)
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★★★

ロケットエンジン用バルブシステムや人口心臓弁の開発によってその高い技術が認められ、経営も安定してきた
町工場の佃製作所。
しかし、取引先からの突然の受注打ち切り、エンジンバルブの納入先である帝国重工の業績悪化によるロケット事業撤退などの危機が迫り、佃製作所は窮地に追い込まれる。
同時期に経理部長の殿村の父親が倒れ、社長の佃は見舞いに訪れる。
農家を営む殿村の実家のトラクターを見て、佃は新たな分野の開発を思いつく―。

下町ロケットシリーズの第三作目。

読み終えた時、話が全然終わっていないことにびっくりしました。
次作の「ヤタガラス」に続くみたいです。
最初から「上巻」と銘打ってほしかったなと思い、モヤモヤが残りました。

それはそうと、相変わらず佃製作所の面々のものづくりに対する情熱は激しく、読み手の胸まで熱くさせてくれます。

今回の主役は佃製作所というよりもギアゴーストというベンチャー企業なのですが、こちらの会社の新キャラ達もそれぞれの思惑を抱えていて、これまた興味が尽きません。
どの登場人物たちも、事情は違えど、その技術にプライドと意地を持ち、前に進んでいこうとする意志が感じられるので気持ちよく読み進められます。
仕事をする人全員を鼓舞してくれるような、熱いものを受け取った気持ちになれました。

今回は佃製作所が脇役の立ち位置だったので、次作の展開に期待してます。

(2018年10月読了)


★★★

映画作家を志す女子大生の真矢(まや)は就職を避けて大学院進学を決めるが、親からは仕送りを絶たれしまう。
生活費捻出のため、布目准教授のフィールドワークのバイトで遠野へ行き座敷わらしを撮影することになったが―。
変わり者の大学教授と女子大生のコンビによる妖怪調査旅行を描いた連作短編集。

妖怪のフィールドワークのお話ですがホラーな要素はあまり無いので怖いのが苦手な方も大丈夫。
のどかな雰囲気の中、主人公コンビの会話もテンポ良く、さくさく読めました。

最初はコミカルな妖怪探しの話かと思ったのですが、案外きちんとした民俗学的なアプローチによる調査をしていて興味深かったです。
座敷わらしや河童、天狗の伝承話の成り立ちについて文化的・歴史的背景を踏まえた布目教授の考察が披露されるので勉強になりました。

3話しかないのですぐに読み終わってしまい、不完全燃焼でした。
まだまだ日本には(世界中にも)妖怪はたくさんいるんだから、続編も作れそうです。

(2018年10月読了)
深山の桜 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ) 深山の桜 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
神家 正成

宝島社 2016-03-04

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★★★

南スーダンの自衛隊宿営地で連続する盗難事件を調査するよう命じられた、退官間近の亀尾准陸尉と部下の杉村陸士長。
日本から特別派遣されてきたオネエの警務官・植木一等陸尉も調査に加わるが謎の脅迫状や小銃弾の紛失という事件が次々と起こり、事態は予想のつかない展開となる…。

前半は自衛隊内部の階級や独特の習慣や言葉に引っかかることが多く、読み進めるのに苦労しました。
冗長と思えるほど隊員たちの日常生活や装備などの描写が細かく、それも読みにくい原因かも。
でも、ディティールが描写されることによってリアルな説得力のある世界が形作られ、現在の自衛隊が抱える問題をより明確に浮き彫りにしていて、物語に奥行きを与えていると感じました。
描かれる隊員たちの人間関係も日常もかなり緊張感のある厳しいものですが、未知な世界を知ることができて新鮮でした。

中盤から、オネエ言葉で喋りまくり、物語をガンガンかきまわす植木一尉がかなり目立ってます。
最初は異色すぎて違和感を感じたのですが、物語の展開がハードになるにつれて、彼の存在がオアシスのように感じられ、ホッとするようになりました~。

現行の法律や政治が抱える問題や矛盾、現場の隊員たちの矜持についてもわかりやすく描かれ、改めて考えさせられました。
作者は元自衛官だそうですが、メッセージ性の強い問題提起もちゃんとエンタメに昇華され、完成度の高い作品になっています。

抒情的なラストシーンは美しすぎて…涙腺がゆるんじゃいました。

(2018年7月読了)
どこかでベートーヴェン (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ) どこかでベートーヴェン (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
中山 七里

宝島社 2017-05-09

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★★★

新設高校の音楽科クラスに天才的なピアノの才能を持つ生徒・岬洋介が転校してきた。
彼は卓越したピアノ演奏でたちまちクラスメイトを魅了するが、その才能は羨望と嫉妬をも集めてしまう。
ある日、豪雨により土砂崩れが起き音楽科の一同は校内に閉じ込められてしまうが、岬の勇気ある行動によって全員救助される。
だが同級生が死体で発見され、岬は容疑者となってしまう・・・。

高校生時代の岬の初事件を描いたストーリー。

このシリーズはいつもミステリ部分はおまけで、素晴らしい音楽描写を楽しむことがメインとなっています(そういう方は多いのではなかろうか…)。
なのですが、今作はそれに加え、「才能」を持つ者と持たざる者の葛藤を執拗に描いており、読み応えがありました。

凡人がどれだけの努力をしても到達できない境地に、生まれながらの天才である岬は軽々と達しているという現実の残酷さ。
無自覚な岬にそれをまざまざと近くで見せつけられた同級生たちの嫉妬と劣等感について丁寧に描かれています。

作中の同級生たちは圧倒的な才能を前にした時、嫉妬して岬をいじめたり距離をおいたりするのですが、愚かだと思いつつ、自分もそんな場面に直面したら平静でいられるかはわからないなと思いました。
己を客観視して折り合いをつけるというのが正しいやり方なのでしょうが、それができる人間ばかりとは限らないですよね。
10代の多感な時期に味わう挫折の味はさぞかし苦かろう…と思うけど、若いから違う道を模索できるし立て直しも早いよね…と、岬よりもついつい同級生たちへ同情してしまいました。

また、天才である岬にも彼なりの悩みや不幸があり、タイトルの「ベートーヴェン」が示すような展開になるにつれ、読んでいてやるせなくなりました。
「夢をあきらめるのも勇気がいる」という言葉が胸にしみます。


(2018年9月読了)
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プロフィール
HN:
sis
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非公開
趣味:
読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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